“今とびきり美味しい肉”を炭火焼でいただいて – 高砂「チャコールグリルキッチン konro」

個人経営の小さな飲食店が多く、開拓し甲斐のあるエリア高砂。「チャコールグリルキッチン konro(以下、konro)」もそのひとつ。おしゃれ感はあるけれど、どこかカジュアルさもあって、ふらっと立ち寄れそうなリラクシーな雰囲気が漂う外観。

入ってみると炭火の香りが漂って、食欲をそそります。2020年2月22日にオープンしてもうすぐ丸3年。肉や旬の野菜を美味しくいただける店として、地域で愛されているkonro。店長の吉永浩気さんにお店のことを伺いました。

「今、美味しい食材」から作る炭火焼料理

独立前は、焼肉やもつ鍋などを展開する食肉関係の企業に11年勤め、トータルでは20年ほど飲食に関わる仕事をしてきたという吉永さん。長いキャリアの中で多様な食材を一通り扱ってきたものの、自身にとって最も面白くて魅力的な食材は肉だったといいます。

部位の種類が多いこと、それによって料理の幅が広がることも、肉に魅了されている理由のようです。そこで肉に強みを持つお店をと考え、炭火焼が売りのkonroをオープン。肉のいろいろな調理法を経験してきた結果、塊肉を炭火で焼くのがふっくらして一番美味、というのが吉永さんの持論です。

肉は基本的に九州産のものを使っていますが、産地を限定することなく、そのときどきに出会う質のいいものを使うことにしています。部位も特定のところに限らず、「今、美味しいかどうか」にフォーカス。

自家製ソーセージ

「使う肉は福岡、宮﨑、鹿児島産といろいろです。炭火焼という調理法は、美味しいものを使うと、肉自体の魅力を最大限に引き出せます」(吉永さん、以下同)

同じく、野菜も産地や農家を絞り込むことなく、八百屋さんに品質の良いものをお願いしているといいます。

お客さんも自分も飽きさせない

そんなkonroでは、炭火のステーキやローストビーフ、アヒージョ、スモークポテトサラダなどの定番メニューのほか、冬ならビーフシチューのような季節感のあるメニューも楽しめます。

軸は「自分が『美味しい』と思うもの、派手さはなくとも、確かに美味しいものを作ること」だと吉永さん。ベーシックなメニューを丁寧に作りながら、そのときどきのニーズに合わせて、新作は次々と誕生しています。

「僕は飽き性なんです(笑)。同じメニューを同じレシピで作り続けるのが得意ではなくて。同じものでももっと美味しくしたいから、改良を重ねていきたいんです。だからレシピは細かくアップデートされ続けています。でないと、自分もお客さんも飽きちゃうかなあと」

お酒も個性的なものが揃います。クラフトビールは卸に携わる知人経由で、静岡市用宗(もちむね)漁港のクラフトビール醸造所「West Coast Brewing」のビールや本場アメリカのブランドのものを取り扱っています。

これらのビールは生産数が少ないため、少量ずつしか仕入れることはできません。週替わりで一期一会のビールも多いとか。ビール以外でも珍しいジョージアワインやクラフトジンなどもいただけます。

大事にしているのは、konroだからこそ飲めるようなラインナップ。他店との差別化を図り、他ではなかなか目にしないものを集めています。吉永さん自身もお酒が大好きで、知識も豊富なため、「ビールと合わせるなら?」「ワインと合わせるなら?」など、料理と相性のいいお酒を尋ねても気さくに答えてくれますよ。

飲食店は人との縁が生まれる場。だから心地よい空間に

主観的な意見かもしれませんが「いい感じの距離感」もkonroの特徴です。吉永さんに「カウンター席の間隔が近すぎず遠すぎずで、隣り合う人と心地良く過ごせる」と伝えたところ、ひとりで来るお客さんも多く、たまたま出会った人同士も話しやすい距離感を意識しているとのこと。

「飲食店は人と出会う場、人との縁ができる場だと思っています。距離がありすぎると話しづらいですよね。だから、心地良いと感じてもらえる距離感で空間を作っています。おひとりでいらした方同士がカウンターに座った場合、様子を見て僕が橋渡し役として、会話のきっかけを作ることもありますよ」

konroで出会って飲み仲間になり、konroを含む高砂エリアの店を連れ立って巡る人たちもいるといいます。

「高砂という街はグルメ好きな人にとって魅力的で、ひとり飲みしている人も多いです。他店で仲良くなった方同士でうちに来てくれることもあります。いろいろな業態がある中で、店同士の仲も良くて、休日に互いの店に飲みに行くこともあります。そこでうちのお客さんに出くわして一緒に飲むこともありますよ。高砂という街に暮らす人、商売をする人は高砂愛が強いなあと感じます(笑)」

今後はワイン会やお花見会、BBQなどのイベントも企画していきたい、と話す吉永さん。konroを好きな人々—「チームkonro」といってもいいかもしれません—で構成されるゆるやかなコミュニティは2023年、さらに広がっていくことでしょう。

後編『「美味しい」の一言が料理人としての原動力 – 高砂「チャコールグリルキッチン konro」』はこちらから。

取材協力/チャコールグリルキッチン konro

Text+Photo/池田園子、ソーセージ、ビール写真はkonroの提供

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