薬院にジュエリーショップがあるのをご存知ですか? 直営店舗ができて12年になる「Decorate me」です。ジュエリーブランド「satela(サテラ)」、アクセサリーブランド「a.g.t.a.m(アグタン)」の2ブランドを展開しています。
特徴はトレンドや年代に関係なく身につけられる普遍性、そして“適量”の個性をあわせ持ったデザインです。つけていると「素敵」と褒められたり、「どこのブランド?」と聞かれたりするくらいに。
今回はDecorate meのデザイナー、株式会社デコレイト・ミー代表を務める林裕之さんに、そのお人柄に迫る質問をいくつかさせていただきました。
前編の『選んだジュエリーで「自分らしさ」や「程よい個性」を楽しんでほしい – 薬院「Decorate me」が願うこと』を読む
●子どもの頃になりたかった職業と、今の仕事につくまでのお話を聞きたいです。
ものづくりをする仕事なら何でもいいと思っていました。一時期はデザイン系の学校に進学しようとも考えていたくらいです。最終的には堅実な路線に進んで、歯科技工士の仕事を1年しました。
その間、同じものづくりでも「求められるものを正確に作ること」と「自分の頭で自由に想像したものを作ること」とでは全然違うなと考えるように。自分は後者のものづくりをしたいんだと気づいて、ジュエリー製作の仕事に転向しました。
●ご自身が大事にしていることは?
ものづくりやデザインにおいては、ジュエリーを手にとる方をびっくりさせたくて、芸術要素を少しだけ意識しています。店舗運営については、空間を含めてトータルで楽しんでいただくことを目指しています。キーワードは「ユーモア」や「ワクワク」。
そんな要素をベースにポップアップをはじめ、いろいろな企画を立てています。組織運営については、ジュエリーを身につける方が心躍るようなものづくりをするチームであろうと努めています。自分自身も心から楽しいと思える仕事をするよう意識しています。
●ご自身でビジネスを立ち上げて得た学びは?
理想像や先のことを決めすぎないようにすること。創業時は「こんな会社にしたい」「こういう店舗にしたい」と、目指すスタイルをかっちり決めていました。
でも、会社も社員もお客さまも「生き物」で、時代が移り変わっていくのと同じように、刻々と変化していくんですよね。変わっていかないものはありません。
だからこそ、たとえば会社に関しては「今のチームで何ができるか?」「どうすればメンバーがワクワクした気持ちで仕事と向き合えるか?」という視点で考えるようになりました。
●時間、お金……これがもっとあれば、ビジネスをもっとこうできるのにといった野望はある?
時間ですね。当たり前ですが、新しく入ってきた人は誰でも、成長するまで時間がかかります。うちでは接客も制作(技術)も教えているので、より時間を要します。
各自の能力がさらに上がっていって、今後もいろいろな企画を展開できればいいなと思っています。同時に、お客さまに「ここに来ると楽しい」と思っていただけるお店でもありたいです。
●自分の得意な技術を用いてものづくりをして、店を持ちたい人にアドバイスを。
店を持つのに不安はあるかもしれません。でも、心配しすぎなくてもいいと思います。本当はどこか「一歩踏み出したいけど我慢している自分」がいて、葛藤があるのではないでしょうか。心から好きなことなら、思い切って挑戦してみるといいですよ。
●今後の展開、挑戦したいことは?
いずれはメンズブランドも展開できればと考えています。というのも、結婚指輪やペアリングなどの引き合いも多かったり、女性と共に訪れた男性でうちのジュエリーに関心を持たれたり、既存商品を買われる男性もいたりと、男性の愛用者さまも増えているからです。
また、店自体に「遊び場」っぽい要素も添えられたらと思っています。よりゆったりとお買い物できる空間にできれば理想的です。
敷居の高いジュエリーショップではなく、お客さまがひとり、あるいは一緒に来店された方と一緒にワクワクできるような場所を今後も目指していきたいですね。
林さん、ありがとうございました! 12月には一年に一度の恒例、satelaの新コレクションが40種類ほど展開されます。温かい気持ちになれるジュエリー店Decorate me。足を運んでみてはいかがでしょうか。
取材協力・写真提供/Decorate me
Text・一部のPhoto/池田園子