スパイスカレーで健やかになってほしい – 高砂「BIN CURRY」店主 岡田敏太郎さん


多様なカレー店が集まる高砂エリアに2022年冬、スパイスカレー店が新たにオープンしました。その名も「BIN CURRY」。朝食に食べても重たくない、かろやかでヘルシーなスパイスカレーを毎日3種類提供しています。

店主の岡田敏太郎さん自身も朝と営業終了後、BIN CURRYのスパイスカレーを食べるのが習慣。25年近く前にスパイスと出会ってから、その奥深さに魅せられ、スパイスのある食生活を楽しんできた岡田さんに、スパイスが日常にある生活について伺いました。

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サラリーマン時代、35歳頃から8年ほど、2ヶ月に一度くらい東南アジア出張に行っていました。特によく訪れていたのがマレーシア・ボルネオ島です。よく行っていた食堂にフィッシュヘッド・カレーがありました。魚の頭で出汁をとるそのカレーが美味しくて、他のメニューが気になっても、毎回フィッシュヘッド・カレーを頼んでしまうくらいでした(笑)。

現地の方に作り方を聞いて、スパイスカレーの存在を知りました。そこで出張の度に町の食料品店でミックススパイスの袋を必ず買い、家で試作を繰り返していました。店にもバイブルとして置いている『カラー図鑑 スパイスの秘密』をはじめ、スパイスの本も読むようになりましたね。

BIN CURRYではたっぷりの肉や野菜で出汁をとる

それまではカレーといえば市販のルーを使って作っていましたが、スパイスだけでカレーを作り始めたのはその頃からです。一気に20〜40人前くらい作って冷凍し、少しずつ食べるスタイルです。ただ、当時は栄養素や効果効能よりも、エキゾチックな食文化に魅せられて、スパイスに熱中していました。

その頃から、朝食にスパイスカレーを食べるようになっていて、スパイスを摂ると溜まった疲労感や二日酔いなどが改善されるのを感じていました。気になって改めてスパイスを深く調べ始めると、体調がすっきりする理由が分かったんです。漢方薬のようなものだなとも感じましたね。例えばターメリックは抗酸化や消化促進、シナモンは血糖値抑制や抗炎症など、あらゆるスパイスには健康に良い効果が複数期待できることが知られています。

店には多くのスパイスが並ぶ

47歳になって大阪への転勤が決まり、単身赴任生活が始まってからもスパイスカレー作りを続けていました。私の身体にはスパイスが合っていて、健康にもいいなというのも実感し続けていました。当時は大阪でスパイスカレー店が増えていて、食べ歩く機会も多かったです。部下とランチで行くことが多かったですが、ハマる人はハマります。逆も然りで「馴染みのある(家庭の)カレーでないと!」という人もいて、面白いなあと思ったものです。

BIN CURRYのお客さまと接していても感じますが、スパイスカレーを大好きになる人は、いろいろなお店を巡って楽しむようです。一口にスパイスカレーと言っても、各店で個性があってまったく異なるスパイスカレーを楽しめるからこそ、面白いんですよね。

同じスパイスを使うにしても、使い方や複数のスパイスの配合バランス、合わせる野菜の種類、作り手の想いなどで味わいは変わります。ひとつとして同じスパイスカレーはない、と言っても大袈裟ではないと思います。同じカレーを食べていただいたとしても、お客さまによって身体に現れる反応も異なります。例えば、すごく汗をかく人もいれば、かかない人もいます。そういうところにスパイスの奥深さを感じます。

飲食未経験ながら、店の運営を心から楽しんでいる岡田さん

スパイスと関わるようになって25年以上になりますが、定年後にこうしてスパイスカレーの店を出せたことに毎日喜びを噛み締めています。人生100年時代と言われる今、自分の人生は4割残っていると思っています。いかに健やかな心身を保って、新たな挑戦を重ね続けるかが課題です。

そのためにも健康でいることが第一なので、生活には気を遣っているつもりです。朝昼は店で提供するスパイスカレーを食べ、夜は家で自炊。さすがに夜はスパイス料理ではありませんが(笑)。週1〜2回はジムに通い、1週間分の排毒を意識しています。BIN CURRYを通じてスパイスカレーの魅力を感じていただけるよう、私自身、悔いのないように情熱と冷静さをもって店を長く継続していきたいです。

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前編『毎日食べて健やかになるスパイスカレーを目指して – 高砂「BIN CURRY」』も読む

取材協力/BIN CURRY

Text+Photo/池田園子

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