「お客さまを1日幸せにできる美容師。素晴らしい仕事ができる環境に感謝」

ditto hair design_高砂

2022年3月1日、中央区高砂にオープンした美容室「ditto hair design」。広々とした空間が印象的な少人数制サロンとしてあらゆる世代に慕われています。駐車場を完備しているのに加え、店内の面積もとても大きいことから、スペース貸しも積極的に行い、ヘアカット・ヘアメイクだけにとどまらない、いろいろな人とのコラボを目指しているユニークなサロンです。

そんなditto hair designのオーナーで美容師の坂東秀幸さんって一体どんな人なのでしょう? 人柄や個性にふれるような質問をいくつかしてみました。 

前編の『「白金・高砂の人が集まるコミュニティになれたら」美容室ditto hair designが目指すこと』を読む

●子どもの頃、なりたかったものは?

小学校低学年のころはプロ野球選手になるのが夢でした。中学時代に「(プロになるのは)無理だな」と悟ったのですが、7歳から高校卒業までの12年間、野球少年でした。音楽で食っていくのを目指して音楽活動を始めた時期もありましたが、「(プロになるのは)無理だな」とすぐに悟ります(笑)。

美容師になろうと閃いたのは、高校卒業後の進路を考えていたとき、ドラマ『ビューティフルライフ』(2000年)で、美容師役を演じていた木村拓哉さんが思い浮かんで、猛烈にかっこいいなと感じたから。就職率ナンバーワンの商業高校に通っていましたが、地元を出て新しい世界で生きていきたいと思い、福岡に出て美容師になるために活動し始めました。

●ご自身にとって「幸せ」「成功」とは?

美容師という職業柄、お客さまが喜んでくれたとき、お見送りしたとき、うれしそうに出ていく後ろ姿を見たときに幸せを感じます。自分個人としては、毎日必死で走っていて落ち着く感じがまったくないのですが、昨日よりも今日が前進できていれば「充実しているなあ」という実感につながります。

「成功」は自分が亡くなったとき、心から悲しんでくれる人がどれだけいるか、だと思っています。父方の祖母がとてもできた人で、人のために動くようなタイプで、とても慕われていて、葬儀では家に入れないくらい行列ができたんです。僕はおばあちゃんっ子で、高3のとき祖母が入院したときは毎日お見舞いに行っていたくらいでした。

葬儀のとき「自分も大人になったら、祖母のような生き方をしたい」と思ったものです。それから約20年後、こうして店をオープンしたわけですが、開店当日にたくさんの方が祝福の花を贈ってくださいました。ここまでの生き方はきっと間違ってなかったんだなと思えた出来事です。

●ご自身が大事にしている言葉は?

僕の好きなイギリスのことわざに、こんなものがあります。

一日だけ幸せでいたいなら、床屋に行け

一週間だけ幸せでいたいなら、車を買え

一ヶ月だけ幸せでいたいなら、結婚しろ

一年だけ幸せでいたいなら、家を買え

一生幸せでいたいなら、正直でいることだ

自分は美容師という仕事で、お客さまを1日幸せにできるんだと思うと、素晴らしい仕事をしているなと思え、今置かれている環境に対し、感謝の念でいっぱいになります。ふと、原点に立ち返りたいときは、このことわざを思い出して、気持ちを引き締めています。

●ご自身でビジネスを立ち上げて得た教訓は?

ひとりでは何もできないこと。この店をオープンするにあたって、僕自身がしたことって特にないんです。内装を作れるわけでもないし、苦手なこともいろいろありますし、僕たちの商売はお客さまがいて初めて成立します。一緒に働いてくれる後輩のヒロトくんの存在にも助けられています。

後輩のヒロトさん(左)から指摘されることも。「意見しやすいオーナー/先輩美容師」を目指している

●自信を失ったとき、不安になったとき、逆境に陥ったときの対処法は?

最初に問題を「壁」として認識すること。怖い、ヤバい、どうしようと感情的に落ち込むのが嫌なんです。「なぜそうなったのか」を冷静に考えたあと、正しく怖がるのが順序だと考えています。大前提として、壁というのは越えられるからこそ現れるもの。だから「これは壁だな」と認めることから始めるようにしています。

●時間、お金……これがもっとあれば、ビジネスをもっとこうできるのにといった野望はある?

「人」ですね。人がいなければ何も始まりません。どんな人と出会い、どう付き合っていくかが何より大事。そのときどきでつながった人たちと、ある程度のタイムラグはあるものの、いいタイミングで仕事できることがあります。出会いを大事にしていきたいですね。

●サロンを持ちたい人にメッセージを。

僕が7年勤めていた美容室の代表が言っていたことをお借りしてお伝えします。

夢とかやりたいことはすぐに形にできるものではない。でも、毎日の努力や積み重ねがとんでもない明日になる。今できることを毎日繰り返し、進んでいけば見えてくるものはあるのだと。

そんなことを言われたことがあります。僕自身も何かを振り返って大いに納得したことがあります。些細なことですが、毎朝のルーティンがあります。7時半に起きて30〜60分湯船に浸かって、今日1日やることを整理する時間は必ず設けています。この時間があることで、その日にいい仕事ができるからです。手抜きしない生き方をこれからも1日1日積み重ねていきたいです。

坂東秀幸/山口県出身。「ditto hair design」オーナー/美容師。18歳で地元を離れ美容師の道へ進むも、20〜25歳まで営業職に従事。その後、アシスタント、スタイリストを経て独立。プライベートでは3歳になるイタリアン・グレーハウンドとの日々を楽しむ。

取材協力/ditto hair design

スペースを借りたい、間借りしたいなどのご相談はInstagramのDMまで。

Text+Photo/池田園子

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