「一人ひとりの個性を尊重する社会を目指して」 – 若者支援団体「あいむ」代表 藤野荘子さん

「子どもたちのどんな『わたしらしさ』にも、あたたかな居場所を」。ハードルを抱える10〜20代の若者を支援する団体「あいむ」の掲げるビジョンです。前編「「子どもたちのどんな『わたしらしさ』にも、あたたかな居場所を」 – あいむが目指すあたたかな社会」に続き、代表の藤野荘子さん(@sokodoko2)のお人柄が伝わる質問をいくつかしてみました。

●子どもの頃、なりたかったものは?

小学生のときは発展途上国のことを知って、将来はそういった国々の支援に関わりたいと、漠然と考えていました。高校生のときは先生になりたいと思っていましたね。人と向き合い、人を育てる教育の仕事に興味があったんです。その後、高校在学中バングラデシュに行ったり、大学はAPUを選んだりと、当時の想いは進路とも関係していました。

●ご自身が大事にしている考え方は?

1つ目は「距離を詰めすぎないこと」です。子どもたちに話しかけても反応があまりなければ「お菓子いる?」と聞いて、お菓子を渡すだけの日もあります。私たちが声かけする若者たちには、人間関係がうまくいかず苦しんできた子が多いです。知らない大人がいきなりズカズカと入ってきた……と嫌な思いをしないよう、距離感を意識しています。

2つ目は「自分たちの価値観を押し付けないこと」です。大西連さんの著書『すぐそばにある「貧困」』を読んで、「私たちの普通は彼らにとっての普通ではない」といった文章と出会いました。確かに誰にとっても“普通”の基準は異なるもの。以降、“普通は〜”といった感覚は取り払って、人と向き合うようになりました。

●ご自身が大事にしている言葉は?

「楽しくないなら環境ではなく自分を変えること」です。高校1年の頃に教わっていた世界史の先生の言葉でした。授業中に「君たちは(今)楽しいか?」と唐突に聞いてくるような、ちょっと変わった方でした(笑)。

でも、毎日をぼんやりと過ごしていた私には大きな刺激で。私たちに問いかけた後、先生は「もし楽しくないのなら、環境じゃなく、自分を変えなさい」と言ったんです。今でも選択に迷うときは必ず思い出す大事な言葉です。

●組織の代表者として大事にしていることは?

メンバー一人ひとりの考え方を尊重することです。人の個性を潰すのではなく、生かすことが大事だと考えています。大学卒業後に勤めた会社が、社歴に関係なくそれぞれの意見や想いを大切にしてくれるフラットないい組織だったことも影響していると思います。

●不調だなと思ったときはどうしている?

落ち込むことがあれば、仕事を切り上げて早めに寝ます。信頼できる相手に話を聞いてもらうこともありますね。昔は人に頼るのがなかなかできませんでしたが、「自立とは複数の依存先を持つこと」という考え方を知ってから、周りに助けを求められるようになりました。

ひとりで何もかもできるわけはないのだから、誰かの力を借りてもいいんだよね……と思えるようになったんですよね。いつだったか母から聞いた「人は頼られるとうれしい生き物。誰かに必要とされて生きがいを見つける人もいる」話も、今はその通りだなと思っています。

●信念を持って団体や組織を立ち上げ、社会課題解決に向けて動いていきたい人にメッセージを。

小さくても動いてみることが大事だと思います。やってみて初めてわかることはたくさんあります。すぐ動くのが難しければ、周りに話してみるだけでも反応がもらえますし、協力してもらえることもあるかもしれません。まずはどこかの組織で手伝ってみたいという方は、私たちにご連絡をいただけたらうれしいです。ボランティアは随時募集しています。

あいむでは寄付金も募っています。夜回りをする際に若者に配る食品や生活用品の購入、急性期的な支援などに充てる費用となります。あいむや藤野さんを応援したい方はWebサイトやSNSをチェックしてみてくださいね。

取材協力/あいむ

Text+Photo/池田園子

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